| 2025年11月4日現在 | ※注:登録してもすぐには反映されません。 | ||||
| 発表 | 講演者氏名 | 著者 | 所属 | 講演タイトル | 講演内容 |
| ポスター | 早ア 隆之佑 | 〇早ア 隆之佑1、瀧川 純一郎1 、 小島 伸彦2 、坂本哲夫1 | 1工学院大学大学院工学研究科電気・電子工学専攻 東京都八王子市中野町 2665-1 2横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科生命環境システム科学専攻 神奈川県横浜市金沢区瀬戸22−2 | FIB-TOF-SIMSを用いたスフェロイド内部の薬剤分布分析 | 細胞を3次元球状に培養したスフェロイドは2次元培養細胞に比べ、生体内の腫瘍の構造と機能の模倣に長けているとして注目されている。そのため、スフェロイドは、新規薬剤や治療薬の開発において、動物実験に替わる手法として期待されている。スフェロイド内部の成分分析法としては細胞レベルの空間分解能をもつ手法が実用化されておらず、細胞内の微細構造や投与した抗がん剤を可視化するための新たな分析法が求められている。坂本らが開発した集束イオンビーム飛行時間型二次イオン質量分析(FIB-TOF-SIMS)装置は、40 nmという極めて高い空間分解能を持ち、多成分の同時イメージングが可能である。本研究ではヒト肝臓がん由来HuH-7で構成されたスフェロイドを用いた。スフェロイドをシスプラチン溶液に24時間暴露したのちに回収した。FIB-TOF-SIMS によるスフェロイド断面の分析結果から、シスプラチンが DNA と結合することで生じるフラグメントイオンPtCN-と細胞核由来のPO2-の分布が一致していることが分かった。これらのことから、本装置を用いることで、細胞分布と投与した薬剤の分布を可視化し、スフェロイド内の薬剤動態や浸漬過程の解明に役立つことが示唆される。 |
| ポスター | 早瀬麻穂 | 〇早瀬麻穂, 1 藤丸朋泰, 2松本佳久, 3 艸分倫子, 4 板倉明子, 4 青柳里果 1 | 成蹊大学大学院1,九州大学大学院,大分工業高等専門学校3,国立研究開発法人物質・材料研究機構4 | バナジウム合金試料の水素分布と結晶構造マップのイメージフュージョンデータの多変量スペクトル分解による解析 | 金属の水素分布と結晶構造の関係解明は、金属中の水素挙動を理解する上で重要である。本研究では、10%Feを含むバナジウム合金を対象に、試料表面の結晶構造と水素透過性の関係を明らかにすることを目的とする。バナジウム合金は優れた水素透過性を示す一方で、水素脆化の課題を抱えており、水素脆化プロセスの解明には金属の結晶構造と水素透過挙動の関係理解が重要である。水素エネルギーの普及に伴い、水素分離膜材料には高い水素透過性と耐久性の両立が求められている。バナジウム合金試料に水素を透過させ、試料表面での水素分布を銀デコレーション法を用いて、銀の分布として光学顕微鏡および電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析(EDS)により観察した。バナジウム合金の結晶構造は、電子線後方散乱回折法(EBSD)を用いて観察した。一般的なEBSD結果である代表的な結晶方位および結晶歪みのEBSDマップに加えて、EBSDにて各測定点で得られる生データの菊池バンド図に多変量スペクトル分解法(MCR)を適用して分類した結果も結晶構造データとして使用した。水素分布データと結晶構造データをMatlab上で動作するイメージレジストレーションを用いて一つのデータに統合し、教師なし学習法を適用して、結晶構造と水素透過性の関連性を示す成分の抽出を目指した。結果として、水素透過性と結晶方位の関係を示唆する成分が抽出された。 |
| ポスター | 廣田大雅 | 〇廣田 大雅1, 橋本 真希1, 藤本 明良2, 高 めぐみ2, 中野 ひとみ2, 駒谷 慎太郎2, 飯田 真一1 | アルバック・ファイ株式会社1, 株式会社堀場テクノサービス2 | X線光電子分光法(XPS)と蛍光X線分析法(XRF)によるマルチモーダル解析 ―ハードディスクドライブの構造解析― | 近年, 電子デバイスの高機能化に伴い, デバイスを構成する組成や層構造を精密に解析する手法の重要性が高まっている. 特に未知試料を対象とする場合, 含有元素の情報や、深さ方向の分布を事前に把握しておくことは, 詳細な表面・界面の解析を効率的に進める上で有効となる.そこで、複数の手法を組み合わせたマルチモーダル解析によるアプローチを試みた。本発表では、市販のハードディスクドライブ(HDD)を蛍光X線分析法(XRF)、高周波グロー放電発光分光分析(RF-GD-OES)、X線光電子分光法(XPS)による詳細な深さ方向分析の事例を紹介する。 |
| ポスター | 佐野武志 | 佐野武志1、石野司1、大塚英和2、伊藤南海2、坂本哲夫12、 | 工学院大学大学院工学研究科 電気・電子工学専攻1、工学院大学 先進工学部応用物理学科2 | フェムト秒レーザーによる断面加工を用いた大型試料のTOF-SIMS三次元分析 | 電子デバイスの小型化に伴い、高い分解能を有する三次元イメージング技術は不良解析において有効なツールとなる。本研究室で開発したFIB-TOF-SIMS装置は空間分解能40 nmを有し、全元素の同時イメージング分析が可能である。FIB-TOF-SIMSでは断面加工とイメージングを繰り返すことで三次元イメージング分析を行う。約100 μmを超える大型試料を扱う場合、イオンミリング加工装置では装置間移動が必要となり三次元分析に用いることができない。また、FIBは装置間移動の必要はないが、照射ダメージやカーテン効果の発生が問題となる。さらに、スパッタリングの物質除去率では長時間加工を要するため分析時のスループットが低くなる。以上の課題から、フェムト秒レーザー加工を併用した三次元分析手法の開発に着手した。本研究では、標準試料として積層セラミックコンデンサを使用した。フェムト秒レーザー加工では、除去した物質が加工断面に再付着するレーザデブリや加工断面の溶融がイメージング分析に影響する。そこで、分析前にFIB照射を行い最表面層の除去を行った。加工断面のイメージング画像を15枚取得し三次元構築を行った。 |
| ポスター | ケ栄禎 | ケ栄禎1、青柳里果1、Jean-Luc Vorng2、Ian S. Gilmore2、児玉 有紀3 | 成蹊大学理工学部1、National Physical Laboratory2、UK 島根大学大学院 自然科学研究科3 | クロレラ消化ミドリゾウリムシ試料のToF-SIMSとOrbiSIMSデータイメージフュージョンによる生体分子同定 | 生物試料の評価には物質ごとの分布イメージが重要である.高い空間分解能で生体分子のイメージングが可能な飛行時間型二次イオン質量分析法 (ToF-SIMS) はこの目的に有力な手法であるが,高質量な生体分子の同定は難しい場合が多い.一方,質量分解能が高い OrbiSIMS は一次イオンビームにガスクラスターイオンを用いることが多いため,空間分解能が一般的な ToF-SIMS よりも劣る.そこで,本研究ではToF-SIMS と OrbiSIMS を用いて得られたデータをイメージフュージョン1してマルチモータルなデータとしたうえで, 機械学習手法で解析することにより単独一つの解析手法による試料情報を足し合わせるだけでは引き出せない試料情報を得て,高い空間分解能と高い質量分解能を両立させる. |
| ポスター | 植木翼 | 植木翼1、AnnaKotowska2、DavidScurr2、青柳里果1 | 成蹊大学大学院理工学研究科1、ノッティンガム大学薬学部2 | 皮膚試料のToF-SIMSとOrbiSIMSデータのイメージフュージョン | 近年,単一の計測データでは捉えきれない情報を補うため,複数のデータを統合するイメージフュージョンと呼ばれる手法が注目されている.本研究では,異なるモードの二次イオン質量分析法 (secondary ion mass spectrometry: SIMS) データに対してイメージフュージョンを適用した上で,多変量解析による特徴抽出を試みた.SIMSの代表的装置である飛行時間型質量分析計(ToF-SIMS)は,数10 nm程の高い空間分解能を有し,2D,3Dイメージングが可能である.しかし,質量分解能は10000程度と未知物質を精密に同定することは困難である.一方、Orbitrapを搭載したOrbiSIMSは極めて高い質量分解能(240000程度)を有し,精密質量測定と高精度なピーク同定を可能にするが,Arクラスターイオンを一次ビームに用いる場合が一般的であるため,空間分解能はToF-SIMSに劣るという課題がある.そこで本研究では,同一試料をToF-SIMSとOrbiSIMSの両装置で測定し,それぞれの利点を統合するイメージフュージョンを行った.これにより,ToF-SIMSの高い空間分解能と,OrbiSIMSの高い質量分解能を併せ持つマルチモーダルデータが構築可能になる.さらに多変量解析により,両装置間で相関する質量ピーク群を抽出し,ToF-SIMSのピークで高空間分解能イメージを得つつ,OrbiSIMSのピークで正確な同定を行う新たな解析手法の確立を目指した. |
| ポスター | 増田 哲也 | 増田 哲也, 1 Jean-Luc Vorng, 2 Ian S. Gilmore, 2 児玉 有紀,3 青柳 里果1,* | 1成蹊大学大学院 理工学研究科 2 National Physical Laboratory, UK 3島根大学大学院 自然科学研究科 | イメージフュージョンを利用した SIMSデータの高質量分解かつ高空間分解解析 | 飛行時間型二次イオン質量分析法は,高感度で試料の二次元および三次元の分子イメージングが得られる表面分析手法であり,生体試料を含む幅広い領域に応用されている.特に一次イオンに Bi32+ などの金属イオンを使用する場合, ToF-SIMSは 100 nm ほどの高空間分解能が実現でき,分子の詳細な局在情報の取得に有用である.その一方で, ToF 型の質量分析器はその飛行時間の上限から質量分解能は m/z 200 で 15000 程 [1]に制限されるため,得られた質量ピークの同定は簡単ではない場合も多い.対照的に,Orbitrap 型の質量分析器を搭載した OrbiSIMS はより高い質量分解能 (m/z 200 で 約240000[1]) が特徴であり,ToF-SIMS よりもピークの構造決定に秀でた手法である.しかしながら通常 OrbiSIMS では,一次イオンとしてガスクラスターイオンを用いるため,その空間分解能は1.5 mm程度 に制限され,詳細なイメージデータの取得は ToF-SIMS に劣る.生体試料のような複雑かつ未知のピークが混在する試料においては,正確な分子同定および詳細な局在情報の両者が重要にも関わらず,取得した ToF-SIMS, OrbiSIMS データはこれまで独立して運用されてきた.そこで本研究では,同一試料の ToF-SIMS データと OrbiSIMS データを一括解析することで,ToF-SIMS の高空間分解能と OrbiSIMS の高質量分解能を両立した解析手法を提案する. |
| ポスター | 神大都 | 神 大都1, 佐野奈緒子2, 石川和高3, 岡本昌幸2, 林 大介1, 庄田慎矢4, 青柳里果1* | 成蹊大学理工学部 2 IONOPTIKA Ltd., UK 3花王株式会社 4 独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所 | 北海道から出土した旧石器時代礫片のSIMSデータの機械学習による解析 | 人類の歴史を理解するうえで遺物の分析は重要である1,2.しかし,遺物に残っている過去の情報はごくわずかであるうえに,長い年月や発掘による汚染などにより遺物の分析は困難である.そこで高感度で未知の物質も含めて測定可能なSIMSを使用する. SIMSによる高感度な表面及び深さ方向測定を行うことで,遺物に残っている過去の情報を最大限に引き出すことが期待できる.また,複雑なSIMSデータの解析に機械学習を用いることで遺物の情報と汚染を分離し,解析することが期待できる3. 本研究では北海道から出土した旧石器時代の石器を解析対象とするが,この石器には以前の分析(GC-MS)で脂質が含まれていることが判明している.また,石器の表面が赤色・黒色化していることから調理に使用されていた可能性が考えられる.そこで,実際に調理に用いられていたか確認するために食物由来の物質の同定を試みる.さらに食物が特定できたら,どのような食料のどのような調理に使用されていたかまで明らかにすることを目指す. |
| ポスター | 福嶋祐樹 | 福嶋 祐樹, 1 Anna Kotowska, 2 David Scurr, 2 林 大介, 1 青柳 里果1, * | 1成蹊大学理工学部 2ノッティンガム大学薬学部 | 劣化海洋プラスチック片のOrbiSIMSによる評価 | 本研究では和歌山県紀伊半島沖で採取された海洋プラスチックの一片を解析対象とした.プラスチック片の大きさは長さ約7.5mm,色は白である.また,試料表面に目視で確認できる傷や変色が存在する.これをOrbiSIMSの測定条件を,一次イオン源に20keV のAr3000+を用いて,ラスターサイズを300µm,質量分解能を240,000,質量範囲75.0 Daから1125.0 Daで,深さ方向に1000層測定した.OrbiSIMSによって得られたスペクトルからある程度ピーク強度の高いピークを自動検索してピークリストを作成した.そのピークリストに従って,各深さ層でのスペクトルの各ピーク強度を数値化し,深さ層と質量ピークの行列データとした.その行列データに対して,主成分分析(PCA)と多変量スペクトル解析(MCR)を行い,表面と内部の情報の分類を試みた.さらに,OrbiSIMSの質量スペクトル上の各ピークの質量から,高分子由来と考えられるフラグメントイオン候補を探した.結果として,未知の海洋プラスチックについてある程度の情報を得ることができた. |
| ポスター | 吉田健 | 吉田健1,2、関尾佳弘1、前田 宏治1、坂本哲夫2、溝上暢人3、平井睦3 | 日本原子力研究開発機構1、工学院大学2、東京電力ホールディングス株式会社3 | FIB-TOF-SIMSを用いた福島第一原子力発電所採取試料の分析 | 福島第一原子力発電所(1F)の廃止措置を進める上で、事故により生成した燃料デブリの性状把握は極めて重要である。燃料デブリは、ウラン燃料、制御棒材料、構造材 などが高温下で混合・再凝固した複雑な構造を有すると考えられ、生成過程や構成物質間の相互作用を理解するには、微小領域における元素および同位体分布を高い空間分解能で評価することが求められる。本研究では、燃料デブリ分析に先立ち、集束イオンビームを搭載した飛行時間型二次イオン質量分析装置(FIB-TOF-SIMS)を、1F 2号機原子炉建屋内から採取された粒子状試料に適用した。その結果、粒子内部にウラン燃料・制御棒材料・構造材がマイクロメートルスケールで溶融・凝固した痕跡が観察された。さらに、複数粒子におけるU同位体比のばらつきを評価し、微小試料の個別分析が可能であることを示した。本研究は、FIB-TOF-SIMSが燃料デブリの詳細評価に有効であることを実証したものである。 |
| ポスター | 眞田則明 | ◯眞田則明1 | アルバック・ファイ1 | XPSによるN1sピークアサインの実際と課題: グアニンと単鎖ポリヌクレオチドの比較 | X線光電子分光法(XPS)による有機分子のN 1sピークは多様な化学状態を反映する一方,官能基による結合エネルギー範囲が重なり,解釈が難しいとされている。著者らは核酸関連化合物の高分解能XPS測定を行い,N 1sピークをアミンおよびイミン成分に分離・定量した。その結果,ヌクレオチドでは理論比と一致したが,塩基固体では乖離が見られた。本報ではグアニン固体と単鎖ポリヌクレオチドの比較を行い,ピーク形状の差異を構造的要因から検討した。グアニン結晶では7H-keto型タウトマーをとり,水素結合により分子平面化が進み電子密度再配置が生じると考えられる。これによりNH₂基を含むプリン環で芳香環共鳴が強まり,固体グアニンのN 1sスペクトルが単鎖ヌクレオチドと異なる要因となると考えられた。N 1sピーク解析には分子構造とその配置の考慮が不可欠である可能性を示す。 |
| ポスター | 西田真輔 | 〇西田真輔、大友晋哉 | 古河電気工業株式会社 | 複数のX線源(Al Kα,Ag Lα,Cr Kα,Ga Kα)を用いた化学状態分析の検討 | 複数のX線源(Al Kα,Ag Lα,Cr Kα,Ga Kα)で同一の光電子ピークを測定し,内部情報量の異なる光電子ピークから多層構造サンプルの化学状態分析を検討した内容を報告する。 |
| ポスター | 我妻勇哉 | 〇我妻勇哉1、金鍾得1、Jake Kim2 | パーク・システムズ・ジャパン株式会社1、Park Systems Corporate Headquarters2 | KPFMにおけるヘテロダイン検出法: イメージング技術の比較評価 | 原子間力顕微鏡(AFM)の様々な測定モードの中でも、ケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)は広いアプリケーションで利用されているアプリケーションの一つである。KPFMは試料表面の表面電位や仕事関数の相対的な測定が可能であり、半導体研究、太陽電池、材料科学の表面分析に関して欠かせないツールとなっている。 従来のKPFM手法であるAM-KPFM、サイドバンドKPFMはカンチレバーの共振周波数付近で動作させるため、特に高速測定時にイメージの質が下がる傾向がある。 一方、ヘテロダインKPFMは、KPFM信号をカンチレバーの共振周波数から離れた位置にシフトさせるヘテロダイン周波数検出方式を採用している。この手法により、感度と空間分解能が向上するとともに、機械的ノイズや背景ノイズからCPD信号を効果的に分離することが可能となる。 本発表では、各手法で測定したデータを用いて高性能KPFM技術の紹介を行う。 |