会長あいさつ

会長あいさつ

一般社団法人 表面分析研究会
第6代会長 牧野 久雄(高知工科大学)

2025年3月開催の幹事会での選任を経て、2025年4月1日より第6代会長を務めることになりました。吉原⼀紘初代会⻑に始まり、⼀村信吾元会⻑、⽥沼繁夫元会⻑、柳内克昭元会⻑、そして永富隆清前会長と、表面分析技術の発展に多大な貢献をされてきた歴代会長の跡を継ぐことに、身の引き締まる思いでおります。表面分析研究会は、1995年3月の設立以来、2025年に30周年という節目を迎えました。電子分光やイオンビームを用いた表面分析技術を中心に国際標準化の分野でも高く評価され、日本を代表する組織として活発な活動を続けてこられた会員の皆様を心から誇りに思います。

この10年を振り返ると、表面分析を取り巻く環境は大きく変化しました。COVID 19 によるコロナ禍を経て、会議や研究会はオンラインやハイブリッド形式が定着し、移動の制約を受けずに議論できる場が広がりました。分析装置においても自動化が進み、現場にいなくとも測定が進行する環境が整いつつあります。さらに、装置の高感度化、高分解能化、高スループット化、放射光をはじめとする先端光源の活用、そしてマルチモーダル化やイメージング技術の発展により、得られるデータ量は桁違いに増加しました。データ解析の面では、機械学習をはじめとするデータサイエンスの活用が進み、ピークフィッティングの自動化、自動測定から自動解析へと分析プロセスが大きく変わりつつあります。さらに近年では生成AIの進歩により、分析や解析結果の解釈に加え、測定条件の提案まで、AI が担う領域が急速に広がっています。こうした技術の発展は、分析の進め方そのものに新たな変化をもたらしつつあります。

しかし、これらすべてを AI に委ねてよいわけではありません。実用表面分析を支える技術者の役割は、むしろこれまで以上に重要になっています。何を知りたいのかという測定目的の設定、目的に応じた適切な分析手法の選択、測定条件に伴う制約の理解といった分析全体のデザイン。装置のキャリブレーションや状態管理、アーティファクトの見極めなどのデータ品質保証。そして、得られた結果を材料特性や物性と結び付けて解釈する科学的洞察。さらには、新しい分析法や測定法の創出など、表面分析技術の研究者・技術者が担うべき役割の重要性は今後ますます高まっていきます。こうした背景のもと、AI 時代における実用表面分析のあり方を議論する場として、表面分析研究会の活動を持続的に発展させていきたいと考えています。

表面分析研究会は、実用表面分析(Practical Surface Analysis)を旗印に、業界の枠や世代を超えて議論できる風土が育まれています。ハイブリッド開催の利点を活かしつつ、対面でのリアルな交流も大切にしながら、今後も活発な活動を続けてまいります。会員の皆様には、これまで以上のご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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